予診表
天王洲審美インプラントセンター−小川歯科
〒140-0002 東京都品川区東品川2-2-4 天王洲ファーストタワー15階
tel: 03-5460-8148 / fax: 03-5460-8149
mail: dentist-ogawa@pop06.odn.ne.jp
OGAWA DENTAL NEWS
予後を診る’クイントエッセンス・デンタル・インプラントロジー

11月10日発売のQuintessence Dental Implantology(クイントエッセンス社)に臨床論文を掲載した。「矯正的挺出技法を用いたインプラントの予後」と題して、骨や難組織(歯肉)の温存や再建方法に矯正技法を応用し、その治療結果と予後(3年と5年)を考察したものである。
http://www.quint-j.co.jp/service/magazine/QDI/qdi.php?no=13&year=2006&num=06

自分の臨床に科学的根拠の裏づけを行い、先人達の研究や論文から考察を行なうことは、臨床家(開業医)として夢でもあった。その反面、反省やミスや至らぬ点ばかりが見えてくる・・・・が、多くの本や専門書が、素晴しい症例や上手く行なえたケースばかりを掲載する風潮の中で、正直な臨床を通じて、また、その経過から医療の本質を考える事ができると自負もしている。(恥ずかしいばかりですが・・・言い訳です!)
友人や先輩の医師から、メールや電話等で、論文についてもご助言や暖かいお言葉を頂き、本当に有難く思っております。
ただ、「もっとこうすれば。あそこは違った方法で・・・」等は原稿を書いている時やスライドを見ている時、文献を引いている時に思い知らされた・・・・。本当に勉強になった。
10月末に発売された歯科評論別冊(ヒョーロン社)の「歯科医療を見える化する」にも‘デジタルリニアトモグラフィー(プロマックス)の活用’を書かせて頂いた。
読者(歯科医)先生のお暇な時にでもご一読頂き、合せてご批判やご意見をご教授頂ければ幸いです。

さて、ブログが1ヶ月以上書けませんでした!!!!すみません!!!。遊んでいた訳では無く、いろいろな事が起こりブログを書く心の余裕がありませんでした。その中でも、親父の病気(パーキンソンと多発性脳梗塞)では、末期医療について、考えさせられました。

暗くなるので、嬉しい話題に! じつは、今日(8日水曜日)は夜、18時30分〜21時は、大きな医療法人(歯科医院・8医院)の勉強会で、先月から講師として、若い先生に歯科治療の基礎を見直しながらインプラントの研修をさせて頂いています。で、私の講義に対する感想やレポートを受講生からいただきました。読んで泣きました。思わず声が出そうでした。(チョッとナルシストなんで・・)
まあ、好評だったと言う事ですが・・・・医師としてホントに嬉しかった・・・です。

そんなこんなの今日この頃です。
Date: 2006/11/08


夢への責任
昨日28日木曜日。神奈川歯科大学・顎機能修復科学講座が主催する‘研究談話会’にて「審美領域のインプラント治療を考える」と題して、〜審美的に満足できるようなインプラント治療をおこなうには、何が問題で、その対策と術式についてどのような解決方法あるのか〜 を、私の臨床ケースから講演させて頂いた。
以前にも書いたけれども、私の歯科医としての‘夢’の一つには、‘大学と競争して勝つ事’だった。
7月には鶴見大学・口腔インプラントセンターにて同じような講演をさせて頂いた。

講演のプレゼンは同じものは無い。必ず、作り変えていくので、自分の贔屓目でもついつい・・自己満足に陥るのであるが。
今回は、ちょっと違った思いがあった。

前歯のような審美領域では、その治療の良否を患者様自身が容易に判断できる事が多く、その事以上に、色調や形態、自然感といいた‘見映え’が要求される事が多い。その為に骨の移植や歯肉の移植といった付加的な術式が要求される。しかし、これらの事を一生懸命に診断し、丁寧に治療しても、100%全てに成功し完璧な結果が得られるとは限らない。(読者の患者さんや、今、僕の患者さんでは心配になったり、不安にさせてしまうかもしれませんね・・・)
では、正直に・・・・・

私たち歯科医の講義や講演では上手く行った治療の経緯や技法を紹介する事が多く、ミスや失敗に対しての原因を考察を自ら示す事は少ない。
今回の私の講演も、じつは第2案があって、私が過去に行なった前歯1本のインプラント症例16ケースを‘否定的に検討した考察’を作ってみた。
これは・・・本当に前歯にインプラント治療が最良な選択なのか? ブリッジや従来の治療法より本当に優れているのか? もしインプラント治療にミスしたら? 等について、個々のケースから考察を作ってみた。
結果は・・・怖くなった。不安になった。胸が苦しく・・・・。(って事で、やはりこのプレゼンは止めてみた)
このブログは歯科医の先生も多く読んでくれているので、歯科医の先生も心に手をあてて答えて欲しい「前歯に単独1本のインプラントは本当に最良の選択肢なのですか?」
もし、骨移植に失敗したら? もし、感染で周囲の骨を失ったら? もし、結合組織移植に失敗したら? もし、インプラント周囲の骨が溶けたら?
これら多くのリスクを全て回避し、なおかつリカバーできる知識と技量を持った上で、治療を進めて行かなければならないと思う・・・

11月は、母校での講演が控えている。‘夢への責任’として、否定的な見地から見てもより優れた最良の方法だと思える‘診断’や‘術式’、‘理論’に裏打ちされ、安全で安心できるインプラント治療を目指して治療を行なってみたい。

PS デンタルダイヤモンド10月号にQ&Aに読者に答える形で‘補綴主導型インプラントの注意点’を書きました。
http://www.dental-diamond.co.jp/mokuji/index_h.html
Date: 2006/09/29


歯科医療を‘見える化’する機器の有効利用法

11月(10月後半?)に歯科医療専門誌の特集として、別冊で「歯科医療を‘見える化’する機器の有効利用法(仮題)」が歯科評論社から出版されます。

現在では、歯科治療も医療器械の進歩から大きく変化し、お口の中を顕微鏡で診察し、レントゲン機器はコンピューター化により、精度の高い画像を得ることができ、CT(コンピューター・トモグラフィー)や内視鏡も応用されはじめています・・・・・って事で、私は、デジタルリニアトモグラフィーという断層撮影可能な歯科用レントゲンの有効利用方法のパートついて執筆させて頂きました。

最後の文章は、〜 医療技術の進歩で、まず第一に恩恵を受けるのは患者さんでなくてはなりません。その最初の診断で大きな役割を果たすレントゲンの意味は大きく、デジタルリニアトモグラフィーは、一般的なCTに劣らぬ情報を医師と患者に提供してくることになります。
今回紹介した、ソケットリフトやフラップレス・テクニック等のインプラント手術での応用は、まさに、見えなかった部分を、医師にも患者さんにも‘見える化’し、従来では成しえなかった医療を支えているのです。
デジタルリニアトモグラフィーの応用が、安全で確実な医療の一助になれば幸いです。〜
と、まとめましたが、多くの患者さんから提供して頂いたレントゲンや写真、資料から私自身が一番勉強になりました。

本当に、辛い治療や長い通院にご協力して頂いた多くの患者さんにお礼申し上げます。

PS 明日・17日日曜日は日本歯科医師会生涯研修の一つで、私(小川勝久)とインプラテックス(株)主催の‘審美領域でのインプラント手術見学コース’という、インプラント治療の講義と実際の手術からの研修会です。多くの先生が日本各地から勉強に来られるので、講義用のプレゼンを再チェックして早めに寝ます。

Date: 2006/09/16


私を育ててくれた人・保母須彌也先生
24年前の秋・・・・。松涛(渋谷区)の閑静な高級住宅街にある国際デンタルアカデミーを訪れた。大学を卒業して半年の学生気分の抜けない私は、スラックスにセーターというラフな格好だった。一緒に行った先輩のM先生も同じような服装だったので、玄関の前で「こんな格好で良いのかなあ・・」と言うと、自信なさげに「大丈夫・・・」とガラス張りの大きなドアを抜けていった。

3階までの吹き抜けのある、はじめて見る、都会の近代的な歯科院。壁には数えられないほどのサティフィケイトと感謝状、写真の数々。緊張してソファーには座れなかったと思う。

当時研修部長だった河津先生(現・明海大学歯学部臨床教授)が、私たちを見るなり、「その格好では、保母所長には合わせられない。着替えて出直してきなさい」と一喝。その翌週、今度はスーツにネクタイで再度訪れる事に。

初対面の保母先生の感想はというと、とにかく、きりっとした姿勢で、笑顔が素敵で自信に満ち溢れている先生という印象でした。その喋り方、身のこなし、本当に魅力的な人でした。診療室や講義室(ジョンストンホール)、技工室(整理、整頓されていて、今でもあれほどキレイな技工室は見たことが無いです)を案内して頂き、セラミッククラウンや咬合についてのお話(保母先生の研究や夢)を聴いた。これがきっかけで、翌年から一年間のコース(UCLAの卒後研修コース)を受講する事になる。

講義は、大学とは全く異なる内容だった。当時、私は大学の‘歯科補綴学第二講座(クラウン・ブリッジ講座)’の助手で、被せ物やセラミック、咬合の研究や臨床、学生教育に携わっていたのですが、国際デンタルアカデミーの講義は、科学に裏打ちされた技術を、トレーニングするというもので・・・例えば、歯の形成(被せ物の治し方。歯の削り方)は6度のテーパーで、グルーブを決められた位置へ、形成面はスムースに、それを、出来るまで。つまり出来ないと終らないのですが、何本も何本も削って、頭や目で覚えるのではなく、身体や腕、指先が覚えるまで、トレーニングさせて頂いた。
咬合論(噛み合せの知識)も、保母先生から、何度も細かく、教えられた。私は咬合論は苦手で、難しい理論やアゴの動きの解析、咬合器の理論を夜遅くまでご教授して頂いた。
今の私があるのは、(東京での開業を目指したり、海外での研修に出向く習慣や歯科医としての基礎)保母先生との出会いから始まったものでした。

温厚な笑顔とは対照的に、歯科医療に対する思いには、それは深いものがあり、講義に遅刻した時や、トレーニングをサボった時には、鬼のような形相で怒られた思いでも・・・
しかし、そのリカバリーが、これまた上手く、人を乗せるのが巧いというか、「小川君。ホントに上手になったね。」とかを、やさしくそっと言うので、また頑張ろうと思ったりもしたのです。

つい最近も、インプラントの咬合や今話題の‘オールオン4’の書籍を出版し、ノーベルガイド(最新のコンピューターシュミレーション)の教本も精力的に執筆されていたようでした。
70を過ぎても若々しく、独特の講演口調や身のこなしは、世界の歯科界においてもスーパースターとして、私の憧れでした。現代の咬合論の基礎を作り、数々の咬合解析機器の開発や、臨床に応用できる技術やノウハウを数え切れないほど生み出した偉大な歯科医であり‘人’でした。

PS 写真は23年前。母校で保母先生の研修があった時のものです。(僕だけなんで白衣ではないのか?・・・・)
Date: 2006/09/01


お盆でも骨移植!
写真はピエゾーを使って下アゴから採取した骨を、上前歯の凹んだ部位に移植している様子です。(怖い画像で、ゴメンなさい)

14日の東京は、朝から停電で、ドタバタ始まりになりそうです。(原因は今のところ不明みたいですが・・・)
私の診療室は、オフィス街の高層ビルの中にあることもあって‘お盆’も診療をしています。衛生士や受付のスタッフは交代でお休み。

今日のメインは、午後から、上の前歯への骨移植です。見学の先生も数名来られるようです。
骨移植には、患者さんご自身の骨を使う‘自家骨移植’と、科学的に作られたものや動物性由来のものを使う‘移植材’(骨補填材)と呼ばれる材料を使う方法があります。
当院では、‘ピエゾー’という特殊な超音波を使った器具を使用して、患者さんご自身の骨を移植するようにしています。このピエゾーは、骨のような固いものは切れるのですが、皮膚や粘膜のような柔らかいもは傷つけること無い非常に安全で便利な器具です。お口の中のような、歯肉の周辺を傷つけず、目的の部位の骨だけを自由な形に切ったり採取出来るので、欧米では歯科領域でも多く採用されています。
取ってきた骨は、動いたり、ずれたりすると生着せず、腑骨(死んだ骨)になってしまう為に、小さなピンや膜で固定して留めておく事が重要です。また、移植される側の骨表面に小さな穴を開けて、骨髄血の出させて移植した骨との血液供給を図る事もとても重要です。
怖い話ですが・・・本当に大切で重要なポイントなんです。

PS  今日は、入道雲が真っ青な空にくっきり。子供の頃に見た雲みたいです。空だけ見てるとカルフォニアと変わらない・・・・・気分だけサンタモニカの天王洲です。

Date: 2006/08/14


ブリッジ(繫げて治す方法)の欠点
数日前、30代女性(OL)が奥歯の違和感を訴えて来院しました。診て見ると、奥歯を2歯失った状況で、前後の歯を支えにしてブリッジで治していました。が、後ろ側の支えの歯が傷んで壊れていたのです。
つまり、2歯で4歯分の噛み合せを支えていたのですが、力の掛かる奥(後ろの歯)の歯が壊れていました。
一般的に、噛み合せは40Kg〜60Kgもの力が加わる事から、ブリッジ治療では負担過重となり、今回のように支えにしていた歯も失う事になってしまうのです。
「この状況では、同じような治療は残念ながら出来ないのです」とお口の中の状況をモニターとレントゲンでご説明しましたが、なかなかご理解頂けませんでした。「十数年も、大丈夫だったのですよ。なんとか同じように治せませんか?」と懇願されましたが、この状況で、再度、同じように治した場合、今は何とも無い健康な手前の歯が、近い将来に必ず壊れて、さらに多くの歯を失う事になるのです。

不幸にして歯を失った時、ブリッジ治療は、その失った歯の前後の歯を繫いで治す治療です。が、以下のような、大きな欠点がある事を受け入れて治さなければなりません。
1、 前後の歯を削る。健康な歯であっても削らなくてはなりません!
2、 失った歯の分も含めて前後の歯で噛み合せの負担をする為、削った歯に、さらに大きなダメージが加わる事になるのです。
3、 銀歯の適合性は、一つの歯でもピッタリ合わすことが難しいうえに、ブリッジとなれば、その適合性はさらに難しくなります。ピッタリ合わなければ、また虫歯になってしまいます。
4、 健康な歯の美しさを失い、銀歯になる事になります。

そして、その長期予後や経過観察から、ブリッジの10年後の残存率は50%を切っているのです。つまり、ブリッジの半分は15年後には壊れて、さらに大きな問題を抱えて治療をする事になるのです。

インプラント良いとか、ブリッジが悪いとか・・・入れ歯はダメだとか・・・ではなく、ご自身の大切なお口の中や楽しい食事や快適な生活の為に、何が一番良い方法なのかを、その患者さんご自身のお口の中の状況や生活環境や経済的問題も含めて、検討しお考え頂くことが本当に大切なことではないでしょうか。

PS 今日の15階の窓から見える東京の景色は、さながら「ホラー映画」にで出てくるような黒く厚い雲(台風の影響の雲)が、生き物のように動いてゾッとしました。
晴れたらお日様カンカンの下で何処か素敵な海に入りたいものです。(きっと夢に終るかも・・・・)
Date: 2006/08/09


ほろ苦く美味しい中華レストラン
写真は、9月の講演用の表紙です。


1日火曜日は五反田のH歯科への出張手術でした。問題なく無事に終了。帰りがけに患者さんから「思っていたより楽だったので、反対側もお願いします」と言われ、お盆過ぎに行うことに・・・・
その後、H歯科の院長先生と手伝って頂いたスタッフの皆で、スタッフの友人が経営する青山の中華レストランへ・・・・「先生。山王病院のそばなんです」「え!もしかして‘ハーデン・タイテン?」「先生!知っているんですか?」「うーん・・・・」何気ない会話をしながらタクシー。
南青山から六本木に向かう道沿い、山王病院の真向かいのビルの2階に、ひっそりとバーのような隠れ家のような中華レストラン‘harden-tighten’は、おそらく20年以上前からあるとおもう。洒落たイタリアンレストランかバーのような内装や雰囲気で、美味しい中華料理を楽しめる素晴しいお店なんです。ワインを飲みだすと、20年前の・・ほろ苦い思い出(このお店での微笑ましい思い出なんですが、)をチョッと思い出しながら、アワビの冷菜やチンゲン菜の炒め物、絶品のスープ、塩味のラーメン等をいただきました。
でね、昨日は、酔うと大変なので早めに帰って来ました。

さて、この写真は、9月に神奈川歯科大学で行なう講演の表紙なんです。僕の講演のタイトルは「審美領域におけるインプラント治療を考える」で、今回は、鶴見大学での講演の反省を踏まえて、新しい内容に作り変えています。この一枚の写真を作るのに2時間!掛かるのですよ・・よく見て頂くと骨移植もベニアグラフトをピンで留めたり、クラッシュ骨をチタンメッシュやゴア膜で固定したり、インプラント周囲に補填したり・・・の細かいケース別にシェーマも含めて描かれているのです。
下の段は、全顎のインプラント! 口唇とフレームワークとの関係の大切さも判るでしょ。
写真をクリックすると大きくなるので興味のある人はよく見てみてください。

PS 今週日曜日は、菅井敏郎先生(東京医科歯科大学 臨床教授)‘インプラント治療にCT画像をどのように生かすのか’等についての講演の司会と座長を私が行なう予定です。
Date: 2006/08/02


審美インプラントの真髄 (夢が醒めて・・・・その2)
22日の臨床写真に、多くのブログ読者の質問があるようなので、治療内容を解説してみます。(一般の読者にはチョッと難しいかもしれませんが、読んでみてください。写真は術前と術後のレントゲン像です。)

患者さんは30代前半の女性、インターネットでの治療相談でご自身のお悩みをご相談され、来院されました。初対面での印象は、マスクをして顔を伏せ、不安で全身を覆っているようでした。
重度の歯周病に罹患し、適切な治療や衛生指導を受けていない事から、口腔内環境は残念ながら不良な状態であり、精神的なケアーの必要性からカウンセリングにおいても、患者さんのお気持ちや今までの医療の経緯を十分に察し、慎重にお話を伺いながら治療方法を模索しました。

本来であれば、まず第一に、口腔衛生指導やその必要性を十分に医師と歯科衛生士とで行い、患者の信頼や協力を得て、歯周病の初期治療から進めていく事となります。しかしながら、この患者さんに限っては、口腔衛生指導の重要性を含めブラッシング指導は行ったものの、本格的な歯垢、歯石の除去等を行うことは非常に難しい状況でした。
さらに、スタディーモデル作成のための印象採得もできず、咬合関係の記録やスタディーモデルからの診査も行うことが出来ませんでした。

そこで今回は、口腔内写真とパノラマレントゲンからの情報に加え、CT(コンピューター断層撮影)から得られた各位置方向からの断層画像に加え、立体的3D画像の構築を行い、その立体的3D画像から、保存的治療を選択した場合の将来の治療後の予治性やパーシャルデンチャー等の取り外し式義歯の問題点、インプラントを応用した場合の外科的課題や補綴形体を検討しました。特にインプラント治療を選択した場合では、最終的補綴設計から外科的埋入部位や角度に補綴的考慮を加え、必要なインプラント本数と形状を踏まえ、治療計画や治療方法を検討しました。

一般的には大掛かりなインプラント外科手術時にはCTから得られた情報を元に的確な埋入位置や角度を検討し、最適なインプラントを選択して、その上でサージガイドを製作して手術を行う事となります。しかしながら今回は、抜歯前のCTであり、また、骨整形の必要性から、シンプラントからサージガイドの製作を行い、3D画像から埋入位置や角度を模索し必要なインプラントの種類と本数を検討して手術に当たりました。

実際の手術時では、抜歯後、直ちに骨整形と軟組織の整形を行い、その後、前述した方法からインプラント埋入をおこないました。埋入にあたっては、抜歯部では初期固定を考慮しアダプテーションテクニックを用い、前歯部では口蓋側の骨量にインプラントホールの形成を行いました。また、自家骨移植を併用し、骨量の少ない上顎臼歯部ではソケットリフトや傾斜埋入を駆使しました。埋入の位置とインプラント形態や本数は、最終的には骨質、骨量を十分に踏まえ、顎骨の撓みや上部構造の設計、下部構造の3分割と言った補綴的見地の検討を加えて決定し、上顎に9本、下顎に8本のITIインプラントを配置しました。
なお、麻酔医との連携を行い、静脈内沈静法による全身管理を併用し上下共に1回で、残存している全ての歯を抜歯し、及び骨整形、インプラント埋入手術を適応した。

その後、上下共に通法により印象採得を行い、上下固定性の治療用インプラント義歯(上顎は6本のインプラント。下顎は4本のインプラントで支えている)を作成した。この治療用固定式インプラント義歯から、咬合平面の位置をはじめ、個々の歯の大きさ、形態、を顔貌や口唇に調和するように修正を行い、患者さまの要望や技工士の意見も取り入れ、最終的上部構造の全体像を模索しました。
完成した下部構造上で、前歯部の形態や位置、大きさを口唇や顔貌との調和を計り、歯頚部の調整や支台歯部の角度の修正を行い、再度、正確な咬合関係の採得を再度おこないました。

下部構造の歯肉の部位には、ハイブリッドセラミックスを応用することで失われた歯周組織の形態や歯間乳頭部部の繊細な形態と色調を再現し、個々のセラミックスは全てオールセラミックスとし、生理的咬合面形態はもとより、自然な色調と細かな形状を再現しました。


重度の歯周病に罹患し、多くの歯の抜歯を余儀なくされた場合、歯周病の初期治療を踏まえ、患者自身の歯の温存を第一に考えていかなければなりません
しかしながら、咬合機能の回復や、その予知性を十分に検討し、さらに審美性や精神的考慮を苦慮したばあい、今回のようなインプラント治療のその役割と恩恵は大きく、失われた咬合の回復のみならず、得られた精神的な喜びは計り知れないものがありました。

Date: 2006/07/25


‘夢’から醒めて・・・・


20日木曜日。鶴見大学/顎顔面口腔インプラントセンターが主催している‘臨床研修医セミナー’で「審美領域でのインプラント治療を考える」と題して、〜審美的に満足できるようなインプラント治療をおこなうには、何が問題で、その対策と術式についてどのような解決方法あるのか〜 を、私の臨床ケースから2時間講演させて頂いた。
以前にも書いたけれども、私の歯科医としての‘夢’の一つには、‘大学と競争して勝つ事’だった。(医療は競争ではない。が、医師としての技術や知識を競いあう事は重要な事であると考えているが・・・というより、大学に未練があるという事ですね)
この一ヶ月は、内容やプレゼンの方法、理論的背景、考察、等を何度も見直して作り変えてきた。自分では、わかり易い内容と写真であったと自負しているが、参加された先生達の感想や忌憚の無いご意見が聞きたいと今でも思っている。

ついつい・・私たち歯科医の講義や講演では上手く行った治療の経緯や技法を紹介する事が多く、ミスや失敗に対しての原因を考察を自ら示す事は少ない。
今回の私の講演も、当然、教科書的な内容にそって、インプラント治療の基礎的事項(本当はこれが最も大切なのですが)をケース別に解説しその実際の臨床例を提示した。しかしながら、先生方の経験の度合いや技量の差から、なんとなくであるが‘うけなかった’。で、途中から、私の治療経験の中から「一生懸命治療したのだけれども、上手く行かなかったケース」を提示し、その原因や限界、考察等に変更しみた・・すると、多くの先生の眼つきも変わってくるのが、演壇からでも感じ取れた。
注)審美領域(上の前歯)でのインプラント治療は、いろいろな意味で本当に難しく、骨の移植や歯肉の移植を含めて、医師に多くの知識や技量が求められる。が、その結果を‘審美’という事から判断すると、そこには患者固有の問題や限界があり、全てが必ず成功するという事には繋がらないのです・・・・・・・・
こんな事を書くと、患者さんには心配させてしまうかも。でも本当の事なんです。ですので、審美をインプラントに生かす事は難しい事なのです。

今日(21日)は、朝早くから、目が醒めた。自分の夢に対して、興奮もあった。まして他校のインプラント科の先生に補綴出身の私の考えが理解してもらえるのか(評価を気にしすぎなんですが・・・まあ、夢だったので)、あるいは、自分の夢に対しての自問自答から眠れなかった。
しかし、実際は、上手く行かない事の連続から、勉強しているのであり、反省しているのが正直な本心である。ゆっくり眠るには、この仕事(骨移植や歯肉の移植を含めた手術)を辞めない限り叶えられないのかもしれない。

PS 写真は、講演の最後の症例です。重度の歯周症に罹患したケースを上下17本のインプラントで治療した術前と術後です。
Date: 2006/07/22


余談・・・・
余談になるが、90年代に7回、中国に行っていた。北京医科大学、上海第二医学院、第四軍医科大学、中日友好病院等に、母校の片山教授の推薦もあり、講義や講演を行なった。
中国の先生方は、皆、熱心で、親切で、温かい人ばかりだった。 数回目の訪中の時、当時4歳になる息子と家内も一緒に・・・・ 暑い日だった。ある一人の先生が、私の講演中に、子供を背負って、北京動物園を案内してくれた。講演が終ってみると、パンダの縫い包みを持って笑顔の息子の横に、汗だくで、ヨレヨレのワイシャツ姿で微笑む先生がいました。

北京での宿泊は、子供と家内が一緒だった事もあって日系のホテルを予約し、そこから北京医科大学に出向いた。
すると、恩師の片山教授から、「中国では、君の宿泊費が一か月分の彼らの給与なんだよ。同じ目線や境遇で、講演をしなければ共感は得られない」と諭された。
『高級ホテルに泊まり、出迎えの車で、講演に行く』これは、思い上がりと見下した事になるのである。‘一緒に勉強させて頂く’の姿勢を教えてもらった貴重な教えであった。

チョッと大げさだが、今の日中問題で、どうも、日本が上から中国を見ているような感じが経済界や政治の世界を見ても思えてならない。 ‘援助してやる’とか‘教えてやる’とかの驕った姿勢では、受ける側の心情は悪くなるだけのような気がする。靖国の問題や戦後の問題・・・・・しかし、もっと人間的な基本的な問題が事の原点にあるのではないかと思う。

昨年の6月に中国での講演のお誘いを受けた。が、ちょうど反日運動の問題の時期と重なり中止に。今年の12月。もし、チャンスを戴けるのであれば、訪中して、インプラントを含めた歯科医療について、お話をしてみたいと思っている。

PS 写真は、1992年(14年前)北京医科大学での講演の後に、質問攻めにあっている所です。中央が私ですが、若かった!(笑い)
Date: 2006/07/13


現行ログ/ [1] [2] [3] [4] [5]
キーワードスペースで区切って複数指定可能 OR  AND
[TOP]
shiromukuNEWS version 1.01